「幼子イエス」2013クリスマス説教
聖書-マタイ福音書2:13-15
幼子イエスとその両親がイスラエルのヘロデ王の刃を逃れ、エジプトに脱出する物語。
新しい「ユダヤ人の王」の誕生の知らせを、現在の王であるヘロデは政権崩壊の危機と受け止め、「民の祭司長たちや律法学者たちを皆」招集し、「メシアはどこ(場所)に生まれることになっているかと問いただした。」彼らは王に預言者の言葉(旧約)を引用しつつ、ベツレヘムであると答えたが、その時期についてはわからない。「そこで、ヘロデは占星術の学者たちをひそかに呼び寄せ、星の現れた時期を確かめた。」そして「行って、その子のことを詳しく調べ、見つかったら知らせてくれ、わたしも行って拝もう。」と学者たちを送り出した。しかし、その知らせがない。彼らはヘロデ王のところではなく、「別の道を通って、自分たちの国へ帰って行った。」のであった。
占星術の学者たちがヘロデの所に行かないという行動が明らかになれば、どうなるかを神は予測して、
幼子とその両親をエジプトに脱出させる指示をヨセフに夢を通して与えた。
聖霊により身ごもったマリアを受け入れ、神の指示の下、誕生した幼子を「イエス」と名付け、子育てが本格化したヨセフに再び、夢で神の言葉が示された。「起きて、子どもとその母親を連れて、エジプトへ逃げ、わたしが告げるまで、そこにとどまっていなさい。ヘロデが、この子を探し出して殺そうとしている。」緊急事態、ヨセフはすぐに起き、「夜のうちに」幼子とその母を連れてエジプトへ脱出した。
エジプトにおける難民生活、それは幼子イエスの厳しい生育環境であるが、「わたし(神)が告げるまで」(「ヘロデが死ぬまで」)という期限付きである故、イスラエルへの帰還という希望を与えられての歩みとなる。また、何よりも希望そのものである救い主イエスと共にある。
この希望は「わたしは、エジプトからわたしの子を呼びだした。」と「主が預言者をとおして言われたこと」の実現となる。また、これはイスラエルの出発である「出エジプト」の想起につながり、イエスの帰還により、新しいイスラエルの歩み(救済史)がスタートする。
毎年、やってくるクリスマスは救いの原点であり、教会の歩みの出発であり、それまでの歩みを省みるときでもある。
今年、2013年クリスマス礼拝で一人の幼子が祝福を受けた。幼子は希望を象徴する存在。祝福された幼子を覚えつつ、自らの歩みの出発を覚えたい。