「喜びにあふれ」(2015クリスマス礼拝説教)☆
世界で最初のクリスマスをお祝いする東の占星術の学者たちの物語。
礼拝に導かれる歩みは学者たちが考えたことでなく、神の側からの星による招きに応えるものであった。この信仰の旅で学者たちは「ヘロデの王の時代」と出会う。ヘロデとはパレスチナの支配をローマ帝国から委託され、33年という長期にわたる政権を維持した王であった。
ヘロデは神殿、劇場、宮殿、スポーツ競技場をはじめ都市の水道事業など公共工事を大々的に実施し、また、ユダヤを経済的に発展させるために地中海貿易を盛んにした。特にエルサレムに新しく建てた神殿はヘロデの業績を称えるものであった。また、自然災害による食糧飢饉に際しては税金の免除を実施する。こうした数々の事業展開がなされたことにより、33年という長期にわたる政権を維持することができたのだと言える。人々はヘロデのことを、「ヘロデ大王」と言った。
しかし、晩年、政権が誰かに奪われるのではないかと猜疑心に襲われ、多くの身内を次から次へ暗殺し、恐怖政治を展開する。ローマ皇帝はそのようなヘロデについて「ヘロデの息子になるよりは、豚になったほうがいい」と言った。イエスが生まれたのはこのヘロデの政権末期の時であり、新しい王の出現が求められていた時である。
学者たちは「新しい王」は宮殿にいると思い込み、そこへ行った。しかし、この最初の訪問は寄り道となったが権力者の不安とは何かの学びを与えられた。そして「行って、その子のことを詳しく調べ、見つかったら知らせてくれ。」とヘロデに使命を与えられ送り出される。
学者たちは「先立って進む」星に導かれ、ついに幼子イエスのおられる場所に到着する。「彼らはひれ伏して拝み、宝の箱を開けて、黄金・乳香・没薬を贈り物として献げた。」その後、「ヘロデのところに帰るな」と神のお告げが夢の中で示される。
学者たちはヘロデのところではなく、新たな神の使命に生きることを決断し、「別の道を通って自分たちの国へ帰って行った。」
神さまはわたしたちに、このような「別の道」を示される。それは私たちに罪を犯させない道、権力犯罪に加担することのない道である。
救い主と出会い、礼拝するとは、礼拝するものたちが罪を犯させない歩みに派遣されることである。
救い主の誕生を祝うクリスマス礼拝をささげた者は神さまが示す別の道に派遣されたい。