「"正義と公平の支配者"の誕生」★

 

「見よ、正義によって一人の王が統治し、高官たちは、公平をもって支配する。」と「正義と公平の支配者」こそメシアであるとイザヤは預言する。

イザヤ書は"聖書の要約・縮小版"であり、新約聖書の土台を提供し、中心主題は「正義と平和」「裁きとあわれみ」を通して「神の愛」を語り、社会正義の実践の裏付けなしには、人々の互いの愛も本物に成り得ないことを、最も明確に語る書のひとつと言われる。

預言者イザヤが生きた時代、古代オリエント世界全体を支配するアッシリア帝国が登場する。それとやはり帝国と言われるエジプトに挟まれイスラエルは「世界」を知らされる。特に紀元前721年、アッシリアが北イスラエルを滅ぼし、次は南イスラエルのユダ王国の番であるとの危機が迫ってきた時であった。

このアッシリアの軍事的脅威に対して何らかの政治的な判断をしなくてはならない。今日で言えば中立条約とか、不可侵条約というものかもしれないが、南イスラエルの危機管理能力が問われることになった。そこでアッシリアが今後、どのような出方をするかを読みつつ、もうひとつの大国、エジプトに頼るという政治的判断が下された。

イザヤはユダ王国に「エジプト人は人であって、神ではない。」とエジプトを「神」でもあるかのように頼ってはならないと警告する。つまり、「世界の主」はアッシリアやエジプトではなく、「正義と公平の支配者」であるとイザヤは預言した。

この「正義と公平の支配者」こそがキリストであり、「世界の主」であることを確認し、その主の誕生を祝う、それがクリスマスである。

今日、「不義」「不公平」などで社会に居場所を持てない人々(難民など)が大量に発生している。私たちはイザヤが預言する救い主イエス・キリストを見つめつつ、これらの人々が「正義と公平」の下で生きることができる社会を創造することがますます求められている。