「魂の成長」★
「天国のたとえ」とはローマ帝国の圧制に苦しむガリラヤの民衆に神の支配に生きる決断を求めるものであった。
「ガリラヤ」は「異邦人のガリラヤ」と差別的に呼ばれていた地。それはこの地が旧約聖書時代、アッシリア帝国により、外国人の植民政策の下、人種的混合が行われ「民族的同一性」を解体させられたことに由来する。新約時代「ユダヤ教化」されるが、ユダヤ地方の人たちに軽蔑され、人間としての尊厳を大切にされなかった。「からし種」のように、見えない・覚えられない存在であった。
今日、日本においてある意味「異邦人」であるアジア系の人たちが、「憎悪にもとづく発言」の一形態である「ヘイトスピーチ」を浴びせられている。「ヘイトスピーチ」とは主に人種、国籍、思想、性別、障害、職業、外見などを誹謗・中傷、貶す、差別するなどし、さらには他人をそのように煽動する発言(書き込み)のことである。
大阪のコリアタウンである鶴橋の駅前では「いつまでも調子にのっとったら、南京大虐殺ではなく、鶴橋大虐殺を実行しますよ。」とある女子中学生がマイクを通じてヘイトスピーチを行った。この場面はインターネットの動画でも配信され、多くの人を震えあがらせた。
ヘイトスピーチを規制する動きは全世界的に広がっているが、先進国中、アメリカと日本は法的に規制していない数少ない国である。
「異邦人のガリラヤ」と差別され、嫌われた人たちに、イエスは「神の国」を示された。それは差別される世界からの脱出であり、「脱出する」ことで、成長が約束された。この「脱出」は同時に魂の成長を与えられる「神の国」の「入り口」であり、すべての被造物に開かれている。