「イエスの権威と力」★
ガリラヤミッションの拠点となるカファルナウムで神の国の支配を現実化させる物語。
エジプトからダマスコに至る街道筋の小さい村であるカファルナウム、国境に近いことで検問所もあり、また、海運貿易の基地でもあった。その村の会堂である安息日、イエスはまず教えを語られた。人々は「非常に驚いた。」いつもは律法の専門家である律法学者たちが、律法の解釈や、先達の言い伝えなどに基づいた教えなどを語る。いわば、聖書の解釈の紹介であった。ところが、イエスは全く違っていた。どのように違うかはまだ、わからないでいたが、会衆にどよめきが起こった。それと同時に予想もしてない「叫び」が会堂内にこだまする。
「大声」をあげたのは「汚れた霊に取りつかれた男」であった。彼は「評判が周りの地方一帯」に広まっているイエスがカファルナウムの会堂に来るというので、会衆にまぎれてそっと入ってきたのだろう。そして、話を聞いたら、そっと帰ろうと思っていたのではないだろうか。しかし、イエスの教えに自分を苦しめていた「汚れた霊」が「大声で叫んだ」のである。
「ああ、ナザレのイエス、かまわないでくれ。我々を滅ぼしに来たのか。正体はわかっている。神の聖者だ。」
この叫びにある「我々」という言葉から、「悪霊」はたくさんであり、この男の苦しみがいかに深いものであったかがわかる。また、この「悪霊たち」がイエスに対し「神の聖者」との叫んだことから、イエスの働きは「汚れた霊」を滅ぼすことであることが会衆に伝わってゆく。
そして、いよいよイエスは神の子としての働きを実行にうつす。
「黙れ、この人から出てゆけ。」この権威と力ある言葉により、悪霊はその男を人々に投げ倒すことで戻し、「何の傷も負わせずに出ていった。」もはや、彼を傷つけることを許されなかったのである。
この大事件に「人々は驚き」「この言葉はいったい何だろう。権威と力とをもって汚れた霊に命じると出てゆくとは。」と語り合った。
神の子イエスが語る神の言葉により、汚れた霊は完全敗北し、新しい物語がこの男の人生に始まるのであった。神は誰にでも神の言葉から生まれる新しい物語を用意されているのである。