「飼い葉桶の救い主」★
神の御子誕生は全世界が動く時であった。当時の世界のトップに立つローマ皇帝は「住民登録」という勅令発布において、ヨセフとマリアはその「登録のため」に、羊飼いは天使の言葉により乳飲み子が寝かせられている「飼い葉桶」を見つけるために。世界の誰もが皆クリスマスの時の下に置かれた。クリスマスは世界史的な大事件であったのである。
最後の敵と言われたアントニウスとエジプトのクレオパトラを滅ぼしたことで「ローマの平和」が実現したことを祝う皇帝アウグストゥスであったが、「住民登録」の発令などにより、その「平和」が偽りであることを明らかにせざるを得なかった。「ベツレヘム」に到着した二人に、「宿屋には彼らの泊まる場所」が用意されないことはその良い例である。
一方、この調査の下、ヨセフと身重のマリアはベツレヘムに向かう旅で、自分たちと同じようにゆっくりとしか歩むことのできない老人や障がい者などと共にあることで「社会的な弱者」の苦悩を学ぶことができた。それはイエスとは誰と共にあるかを証する旅ともなった。
また、「野宿しながら、夜通し」働く羊飼いは「住民登録」の対象外に置かれたが、御子誕生の知らせが第一に伝えられた。天使に「あなたがたのための救い主」が「飼い葉桶に寝ている乳飲み子」であると言われたでなく、天の大軍の讃美を与えられた。この天使の言葉と天の讃美に押し出されるようにして、羊飼いは「救い主」を探しあてる。しかも、それで終わらず彼らはこのことを「人々に知らせた。」という証人となる。人々の反応は「不思議に思う」だけで、「では見に行こうか」と行動を起こそうとはしない。もし、偉い律法学者の話であったら、そうではなかったろう。神はクリスマスの最初の証人に社会の中心にいる人たちではなく、羊飼いをあえて選ばれたのである。
「マリア」はクリスマスの出来事を「すべてこころにおさめる」人に、そして羊飼いたちは讃美する人になる。飼い葉桶の救い主を身体全体で感じる時を与えられたのである。
2014年のクリスマス、私たちも救い主を受け入れ、マリア、羊飼いに連なる者となりたい。