「すべての獣と契約を立てる」★
盲導犬訓練士の多和田悟さんはご自身の「犬と話をつけるには」(文春新書4頁)と題する本の中で「一般家庭でも、犬に何かをさせるのではなく、ただ楽しく一緒に暮らしたいと望む人が増えました。いまや、犬は家族の大切な一員になったのです。」と書かれている。「犬が家族の大切な一員」となる新しい家族の形態が生まれ、教会はこれに対応するミッションが求められていることを教えられる。
また、この「家族の大切な一員」と言われる動物に関し、関田寛雄先生(青山学院大学名誉教授)は「異種家族(いわゆるペット)とその葬儀について」(「断片の神学」279頁)で「人間とは"種"を異にするものでありながらも、ある決断をもって共生し同居するのであれば、それを"異種パートナー"または"異種家族"と称することが相応しいのではあるまいか。」と言われる。両者とも犬などが「家族」であると語る。
聖書は天地の創造物語で人間は諸動物と共に六日目に創造され、同じ日に創造されたという点でそれぞれが平等な位置にあると語る。七日目に休まれた後、世界はどうなるか神はじっとご覧になっていたが、この創造された世界について神は「わたしは人を創造したが、これを地上からぬぐい去ろう。人だけではなく、家畜も這うものも空の鳥も。わたしはこれらを造ったことを後悔する。」と言われ、新しい世界の担い手としてノアを選ばれ、世界を造り直された。そして、再出発に際し、ノアとその家族だけでなく「地のすべての獣と契約を立てる。」。人間だけではなく全被造物が神の契約相手となり、そのことを忘れないようにと「契約のしるし」として「虹」を空に置かれた。
今日、私たちは空に虹がかかるとき、神が創造された世界に多種多様な被造物が生きていることを忘れないようにしたい。