「命の言葉を残らず民衆に」★

「牢」から自由にされ、「命の言葉を残らず民衆に」との使命を与えられ、神殿に立つ使徒の物語。
使徒たちは「大祭司とその仲間のサドカイ派の人々」の「ねたみ」の故に、逮捕された。「公の牢」に入れられ、翌日は最高法院が召集され、審議の上できびしい処罰を下される予定であった。
 しかし、もうこれでおしまいと思われる状況を打ち破られる方が神であった。「夜中」の闇を打ち破るように救いの出来事が起きる。「主の天使が牢の戸を開け、彼らを外へ連れ出した。」目的はただ救うだけではなく、今一度、使命を与えるためであった。「行って神殿の境内に立ち、この命の言葉を残らず民衆に告げなさい。」いわば「伝道リセット」とも言える。
 「夜明けごろ」使徒たちは疲れた身体を引きずるようにして境内に立つ。神殿の宗教行事の1回目に参加する礼拝者(民衆)に向かって教えが語られる。それは闇に勝利したキリストの光に裏付けられた、また、神殿が語り得なかった新しい教えでもあった。
 一方、神殿当局は使徒たちの裁判のための準備に取り掛かる。「最高法院、すなわちイスラエルの子らの長老会全体を召集し」て、「使徒たちを引き出すために人を牢に差し向けた。」しかし、思ってもみない状況があった。「牢にはしっかり鍵がかかっていた上、戸の前には番兵が立っていた~」にも関わらず、使徒たちが中にはいない。この報告を受けた「神殿守衛長と祭司長たちは、どうなることかを使徒たちのことで思い惑った。」そんな時、信じられない、今なら「うそでしょう!」と言われそうな報告が届く。「あなたがたが牢に入れた者たちが、境内にいて民衆に教えています。」
早速、「守衛長は下役たちを率いて」使徒たちを逮捕する。
 その時であった。使徒たちを守る人たちを神は準備されていた。逮捕に際し、守衛長は「民衆に石を投げられるのを恐れて、手荒なことはしなかった。」できなかったのである。使徒たちの活動を理解する支援者がいたのである。神のミッションは、どのような困難な状況にあってもこのような支援の下にあり、命の言葉が残らず伝えられてゆくのである。