「福音のために」★
主の交わりから距離を置いている二人の女性、エボディア、シンティケに教会に戻るようにとの要請と現在リーダー格である人々にそのための尽力を求める箇所。
ローマ帝国のマケドニア州の数少ないローマ植民都市のひとつであるフィリピでの開拓伝道において婦人たちを中心とする入信者が与えられ、教会の基礎ができた。二人はその時の婦人たちであった。その後、教会から離れてしまったが、パウロは彼女たちに復帰するよう勧告する。これは「主において」しか、可能とはならぬ深刻な問題であったようである。
一方、受け入れ側の代表格である人物に「二人の婦人を支えてあげてください。」と要請する。
その際、二人が「福音のために」パウロと共に戦ったことと共に神の救いの計画に欠かせない義なる人たちの名前が載る「命の書」に記されている存在であると言われる。
教会員が群れから離れそうになることは今日もよく起きる問題であり、一旦、教会を離れた人に戻ってもらうことは非常に難しい。それらの人たちが帰って来なくても教会としては困らない場合もしばしばある。そのため、教会が全体として受け入れる態勢をつくることが難しいと同時、時間の経過と共にその人たちの持ち場(居場所)がなくなる場合もある。そのため、戻ったとしても、本人たちは非常にさみしい気分におそわれる。
教会の課題のひとつは上記のように、壊れてしまった兄弟姉妹との関係改善がある。その際、神と私たち人間の関係は主イエス・キリストにより修復されたのであり、それは神の一方的な恵みの事実によることを踏まえることが大切である。
どこの教会にも、去っていった兄弟姉妹が多くいる。日本基督教団規則では、「○3年以上住所が不明であるとき。○理由なく3年以上教会に出席せず、かつ献金その他の義務を怠ったとき、役員会の議決を経て会員別帳に移すことができる」とある。
エボディア、シンティケはフィリピ教会の、いわば「別帳会員」なのであろうか。教会はこれらの兄弟姉妹たちが教会の交わりへ復帰するためにも多く労さねばならない。それも主が命じられた重要な伝道なのである。