「主の霊」★
使徒言行録5章1節~11節
バルナバに倣い、教会に献金したが、「代金をごまかし」ため、「神を欺いた」として「息が絶えた」アナニア・サフィラ夫妻の物語。
バルナバはエルサレム教会の経済的困窮のため、「持っていた畑を売り」、その代金を捧げた。レビ人であることが、そのような良き業を生み出す要因の一つであったかもしれない。
これに倣おうとしたのがアナニア・サフィラ夫妻であった。しかし、「代金をごまかし」た。
これがすぐに明らかとなり、ペトロが夫アナニアに問いかけた。「なぜ、あなたはサタンに心を奪われ、聖霊を欺いて、土地の代金をごまかしたのか。」。ここで言われる「サタン」とは神に敵対して神の計画の邪魔をし、神の思いよりも人間の思いを優先させる存在。このサタンに「心を奪われて」いたことが指摘され、次に「聖霊を欺いた」と指摘される。聖霊は教会の皆を「一つに」し、「すべての者を共有」させる働きをしていたが、この夫妻の行動はそれを欺くものであった。
ペトロは神との関係で何が問題かをまず明らかにし、次に所有する土地は「売らないでおけば、あなたのものだったし、また、売っても、その代金は自分の思い通りになったではないか。」。なのに、「どうして、こんなことをする気になったのか」とその動機を問題にした。アナニアは反論する間もなく、「倒れて息が絶えた。」
「それから三時間」が経過した後、「アナニアの妻がこの出来事を知らずに入って来た。」ペトロが早速、質問する。「あなたたちは、あの土地をこれこれの値段で売ったのか。」すると、彼女は「はい、その値段です」と夫と示し合わせた答えをする。ペトロはがっかりして、「主の霊を試すとは、何としたことか。」と言った。彼女も夫同様に「息が絶えた。」
聖霊が支配する時代、その霊に逆らう者がどのようになるかが明らかにされる。二人は共に「息絶え」肉体が滅ぼされたが、霊までではない。終わりの日、二人は主の前に悔い改めて立つことが期待されている。
また、「教会全体とこれを聞いた人々は皆、非常に恐れた。」ことで、神が創造された全世界が神の尊厳の前にひれ伏したとも言える。
ペトロが「どうして、こんなことをする気になったのか」と語るが、私たちもそのような気になる一人であることを忘れてはならない。